2026年02月27日
【大安吉日 人事のコラムVol.9】気づかないうちに法律違反?中小企業が年度替わりに見直すべき「36協定」と労務リスク
本日は大安ですが、新しい事を始めるのには向かないとされる「不成就日」が重なっております。大きな決断をあえて避ける経営者様もいらっしゃるかもしれませんが、こういう日こそ「現状の人事課題を洗い出す」「プロに相談して足場を固める」という、守りの時間にあてるのが大正解です。来月からの新しいスタートに向けて、本日もヒューマンソリューションが人事のヒントをお届けします。
まもなく3月を迎え、企業は新年度の準備に追われる時期となります。新しい事業計画や採用活動に目が行きがちですが、中小企業の経営者様が意外と見落としてしまうのが「労務書類のアップデート」です。
「うちは昔からこのルールでやっているから大丈夫」 「従業員とは信頼関係があるから、細かい書類なんてなくても揉めないよ」
このような油断が、ある日突然、労働基準監督署の是正勧告や、退職した社員からの未払い残業代請求といった致命的な労務トラブルを引き起こす原因となります。
古いルールを放置して起こる労務トラブルの失敗事例
労務管理において最も危険なのは、「法律が変わっていることに気づかず、古いフォーマットを何年も使い回している」というケースです。
よくある失敗が、「36協定(時間外・休日労働に関する協定届)」の更新漏れです。社員に残業をしてもらうためにはこの協定を労働基準監督署に届け出る必要がありますが、有効期間を1年間としている場合、毎年の更新手続きが必須です。これを忘れたまま社員に残業をさせてしまうと、その時点で労働基準法違反となり、悪質な場合は罰則の対象となります。
また、「雇用契約書」や「労働条件通知書」の記載内容が古いまま放置されているケースも頻発しています。法改正により、企業が労働者に明示すべき項目は年々厳格化されています。例えば、就業場所や従事する業務の「変更の範囲」を明記することが新たに義務付けられていますが、これを知らずに古いテンプレートを使い続けることで、後々「聞いていた条件と違う」と労働審判に発展する事例が増加しています。
新年度を安全に迎えるための労務見直しステップ
労務トラブルは、会社の資金や経営者の精神を大きく削り取ります。そうなる前に、年度替わりのタイミングで必ず点検しておくべき3つの防衛策を解説します。
1. 36協定の有効期間と更新漏れをチェックする
まずは現在提出している36協定の控えを確認し、有効期間がいつまでになっているかをチェックしてください。年度末(3月31日)で切れる設定になっている企業が多いため、期限が切れる前に労働者の過半数代表者と協定を結び直し、速やかに管轄の労働基準監督署へ届け出る手続きを進めましょう。
2. 法改正に対応した最新の労働条件通知書にアップデートする
4月に入社する新入社員や、契約更新を控えるパート・アルバイトスタッフに渡す労働条件通知書が、最新の法律に適合しているか確認が必要です。インターネットで拾った古い雛形をそのまま使うのではなく、厚生労働省が公開している最新のフォーマットを参照し、必要な明示事項がすべて網羅されているか点検してください。
3. 年次有給休暇の5日取得義務の消化状況を確認する
労働基準法により、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対しては、年間に5日以上の有給休暇を取得させることが企業の義務となっています。年度の区切りとして、対象となる全社員がしっかりと5日取得できているか状況を把握し、不足している社員がいれば、計画的な取得を強く促すアナウンスを行ってください。
【本日のまとめ】年度替わりは労務環境の「健康診断」を行う絶好のタイミングです。法改正のスピードは年々速くなっており、経営者様お一人ですべてを把握するのは非常に困難です。手続きの漏れや法的なリスクに少しでも不安を感じた場合は、新年度を安心してスタートできるよう、早めに社会保険労務士などの専門家のチェックを受ける体制を整えることをおすすめいたします。
【次回予告】3月5日(木)
若手定着の鍵!中小企業が見直すべき「オンボーディング(受け入れ体制)」の仕組み