2026年06月15日 評価制度・給与・賞与
賃上げ原資を捻出する「生産性連動型」評価の導入方法(Vol.28)
皆さま、こんにちは。 ヒューマンソリューションの葆東(ほうとう)です。
本日6月15日は、「栃木県民の日」です。 この郷土の節目に、暦の上で最も縁起が良いとされる「大安」が重なりました。
宇都宮の街に誇らしげに掲げられた県旗を眺めながら、この地で共に歩む経営者の皆さまへ、力強いエールを送りたい。そんな高揚感とともに、ペンを執っております。
新しい時代を切り拓き、地域経済の主役として一歩を踏み出すには、これ以上ない追い風が吹く一日です。 栃木の未来を担う皆さまと、本質的な組織の在り方を考えられるご縁に、心から感謝いたします。
いま、栃木県内の中小企業経営者が直面している最大の壁。それは、容赦なく押し寄せる「賃上げ」の波ではないでしょうか。
物価高騰に対応し、他社に人材を奪われないために給与を上げる。しかし、その原資をどこから捻出するのか。ただ人件費比率を上げて利益を削るだけでは、企業の寿命を縮めることになりかねません。
結論から申し上げます。これからの時代は、賃上げを単なるコストとして捉えるのではなく、社員の行動を変え、利益を増幅させるための「成長投資」へと昇華させる戦略が必要です。それを実現するのが「生産性連動型評価」の導入です。
1. 離職防止のつもりが逆効果?戦略なき「一律ベア」の失敗事例
多くの企業が良かれと思って実施する「全社員一律のベースアップ(ベア)」には、大きな罠が潜んでいます。
【失敗事例】一律5%アップが、優秀な若手の離職を招いた理由
ある栃木県内企業の事例です。 その会社では、離職を防ぐために全社員一律で5パーセントのベースアップを断行しました。しかし、結果は悲惨なものでした。
- ・頑張っている社員も、現状に甘んじている社員も「同じ昇給」
- ・これを見た優秀な若手が「自分の成果は正当に報われない」と絶望
皮肉なことに、賃上げの直後に優秀な社員から転職を決めてしまいました。一方で、会社の利益率は低下し、再投資の余裕がなくなるという悪循環に陥ったのです。意図が見えず、戦略なき賃上げは、組織の士気を下げ、経営を圧迫する最悪の結果を招きかねません。
2. 賃上げ原資を自ら生み出す「生産性連動型評価」3つの柱
利益を生み出し、そこから正当な報酬を還元する好循環を作るための、具体的な3つのステップです。
① 「付加価値(粗利)」を明確な評価指標にする
単に「忙しく働いている時間」を評価するのではなく、その行動がどれだけの付加価値(粗利)を生んだかを評価の主軸に据えます。例えば
- ・製造業: 歩留まりの改善や原価削減、リードタイムの短縮
- ・サービス業: 顧客単価の向上や紹介率のアップ
これらを数値化し、達成度合いを給与にダイレクトに反映させる仕組みを構築します。
② 現場の「ムダ取り」を評価項目に組み込む
生産性を上げる最短ルートは、今やっている業務の無駄を省くことです。例えば「これまで1時間かかっていた作業を、45分で終わらせる仕組みを作った人」を最高ランクで評価してください。
浮いた時間は、新たな付加価値を生むための創造的な仕事や、スキルアップの時間に充てる。これが、中長期的な収益向上に繋がります。
③ 利益還元のルールを事前に「見える化」する
「これだけの利益が出たら、そのうちの何パーセントをボーナスや給与として還元する」という約束を、経営者が勇気を持って開示することです。
宇都宮の真面目な社員たちは、自分たちの頑張りがどう自分に返ってくるかが分かれば、経営者と同じ視座でコスト意識を持つようになります。
3. まとめ:栃木の真面目な人材を活かし、地域で勝ち残る「強い組織」へ
栃木県民の日に思うことがあります。私たちの郷土は、真面目で、我慢強く、技術を尊ぶ素晴らしい人材の宝庫です。その力を「何となくの評価」で眠らせておくのは、あまりにも勿体ないことです。
経営者が覚悟を持って、公平で納得感のある「評価制度という刀」を研ぐこと。それこそが、賃上げの原資を自ら生み出し、地域で勝ち残る唯一の道です。
- ・一律の賃上げではなく、成果と生産性に連動させる
- ・ムダ取りを評価し、利益還元のルールを開示する
賃上げは、社員を甘やかすためではなく、会社を強くするために行うものです。自社の評価制度が「未来への投資」になっているか、改めて見直してみませんか?
大安の今日に下した決断は、必ず大きな実りとなって貴社に返ってくるはずです。
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次回予告 6月21日(日)
夏のボーナス面談で仕掛ける「離職防止」の心理術(Vol.29)
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