2026年05月18日 人事戦略・経営・外部活用
SaaSはもう古い?宇都宮の現場を救う「AI BPaaS」という次の一手(Vol.23)
本日は2026年5月18日です。 暦の上では、何事も円満に運ぶ「大安」に加え、一粒の籾が万倍にも実るとされる「一粒万倍日」が重なる、この上ない最良のスタートとなりました。 このような佳き日に、皆様と新たな知恵を共有できることを心よりお祝い申し上げます。
宇都宮の街路樹も鮮やかな緑に包まれ、初夏の風が吹き抜ける季節となりました。今日も 代表の私、葆東が、栃木の経営現場で今まさに起きている「変化」の最前線をお伝えします。
「SaaSを入れれば業務は楽になる」
少し前までは、そう信じられていました。
実際、勤怠、給与、採用、経費精算、顧客管理。
さまざまな業務がクラウド化され、
中小企業でも便利なツールを使える時代になりました。
ただ、現場で起きているのは、
それだけでは片づかない問題です。
ツールは入れた。
でも現場が使いこなせない。
入力が止まる。
運用が属人化する。
結局、最後は誰かが手でつないでいる。
こうした状態を見ていると、
今の中小企業に本当に必要なのは、
単なるSaaSの導入ではなく、
業務そのものを回る形に変えること だと分かります。
そこで注目されるのが、
AI BPaaS(AI ビーパース) という考え方です。
これは、ツールだけを渡すのではなく、
AIと仕組みと運用支援を組み合わせて、
業務プロセスそのものを成果につながる形で提供していく発想です。
言い換えれば、
「システムを入れました」で終わらせず、
現場で動くところまで引き受けるモデル です。
SaaSはもう古いと言われるのはなぜか
結論から言えば、
SaaSそのものが古いわけではありません。
ただ、現場の感覚で言うと、
SaaSだけでは足りない場面が増えている のは事実です。
SaaSは便利です。
業務を標準化しやすい。
情報も見える化しやすい。
初期導入もしやすい。
でも、中小企業の現場では、
次の壁によくぶつかります。
- 入れたが使い切れていない
- 現場の運用に合っていない
- 担当者しか分からない
- 例外処理が多くて手作業が残る
- 管理職が忙しすぎて定着支援までできない
つまり、
SaaSはあくまで道具であって、
道具を使って業務を回す設計 までは自動ではやってくれません。
ここにギャップがあります。
ツール導入と業務改善は同じではない
ここはかなり大事です。
現場では、
システムを入れたことが、
そのまま改善だと思われがちです。
でも実際には、
- 誰が入力するのか
- どのタイミングで使うのか
- イレギュラー時はどうするのか
- 誰が見るのか
- 誰が判断するのか
ここまで設計しないと、
業務は回りません。
つまり、
ツール導入と業務改善は別物です。
この違いを見落とすと、
SaaSは入れたのに現場が楽にならない、
という状態になります。
中小企業では「使いこなせる前提」が崩れやすい
大企業と違って、中小企業では
専任の情報システム担当も、
専任の業務設計担当もいないことが珍しくありません。
人事が総務を兼ねている。
管理職が現場を見ながら運用している。
社長が最終的に全部判断している。
こういう会社では、
SaaSを導入しても、
定着まで面倒を見る余力が足りないことが多いのです。
だから、
ツールそのものより、
ツールを含めた運用支援の方が重要になる 場面が増えます。
AI BPaaSとは何か
AI BPaaSは、
一言でいえば、
AIを活用しながら、業務プロセスそのものをサービスとして回す考え方 です。
SaaSが「ソフトを使える状態」を提供するものだとすれば、
BPaaSは「業務が回る状態」を提供する発想に近いです。
そこにAIが加わることで、
- 定型処理の自動化
- 情報整理の高速化
- 問い合わせ対応の効率化
- 文書作成や要約の補助
- 判断前のたたき台作成
といった部分が、より前に進みやすくなります。
つまりAI BPaaSは、
単にAIツールを使うことではありません。
AI × クラウド × 人の運用支援 を組み合わせて、
現場の業務を実際に前へ進めるモデルです。
SaaSとの違い
SaaSは、
ソフトウェアを利用する仕組みです。
一方でAI BPaaSは、
そのソフトを含めて、
業務プロセス全体を成果につながる形で運用する発想です。
SaaSでは、
「この機能を使ってください」が中心になります。
AI BPaaSでは、
「この業務をこう回して成果につなげます」が中心になります。
ここが大きな違いです。
BPOとの違い
BPOは、
業務を外部に委託する発想です。
ただ、従来のBPOは、
人の手で受ける部分が大きく、
ツールやデータ活用が分断されやすいこともあります。
AI BPaaSは、
外部支援に加えて、
AIやクラウドを組み込んだ形で、
より標準化・可視化・再現性を持って回すところに強みがあります。
なぜ今、中小企業にAI BPaaSという発想が必要なのか
このテーマが必要になる背景には、
単なるIT化の話ではなく、
人手不足と管理負荷の限界 があります。
特に宇都宮や栃木の中小企業の現場を見ていると、
多くの会社で似たことが起きています。
- 人が足りない
- 採用してもすぐに戦力化しない
- 管理職がプレイヤーを兼ねている
- バックオフィスが少人数で回っている
- 業務改善まで手が回らない
この状態では、
「ツールを入れたので現場で頑張ってください」
では、もう回りません。
だから必要なのは、
システムだけでも、
人手だけでもなく、
仕組みと運用を一緒に持てる形 です。
そこにAI BPaaSの意味があります。
人が足りないだけではなく、回す人も足りない
中小企業で見落とされがちなのは、
作業者が足りないだけではなく、
運用を整える人も足りない ということです。
たとえば人事でも、
- 採用管理ツールはある
- 勤怠システムもある
- 評価シートもある
でも、
それをどう運用し、
どう定着させ、
どう改善していくかを見る人がいない。
これでは、
道具が増えても、
現場の負担は減りません。
現場では「例外対応」が一番重い
SaaSが得意なのは標準処理です。
でも現場で本当に大変なのは、
標準から外れる対応です。
たとえば、
- この社員だけ勤務形態が違う
- この案件だけ例外処理が必要
- この部署だけ入力が止まりやすい
- この上司だけ運用が定着しない
こうした例外対応が積み上がると、
現場はどんどん疲弊します。
AI BPaaSの強みは、
この「人がつなぐしかなかった部分」を、
仕組みと支援で軽くしていけることにあります。
宇都宮の現場でAI BPaaSが効く場面とは
このテーマを机上論で終わらせないために、
中小企業の現場でどこに効くのかを見ていきます。
AI BPaaSは、
大がかりなDXよりも、
むしろ人が足りず、属人化しやすい現場 で力を発揮しやすいです。
人事・採用まわり
人事領域では特に相性が良いです。
たとえば、
- 求人票のたたき台作成
- 面接記録の整理
- 応募者対応の標準化
- 入社手続きの抜け漏れ防止
- 評価面談記録の要約
- 研修案内や社内周知の整備
こうした業務は、
一つひとつは大仕事ではなくても、
積み上がるとかなり重い。
しかも、担当者が少ない会社ほど、
この重さがじわじわ効いてきます。
総務・バックオフィスまわり
総務や管理部門でも、
AI BPaaSはかなり有効です。
たとえば、
- 問い合わせの一次対応
- 社内申請の案内整備
- 定型文書の作成補助
- 会議記録の整理
- 手順書やマニュアルの標準化
こうした領域は、
単純作業に見えて、
実際には細かい判断や確認が多く、
属人化しやすいところです。
だから、
ツールだけより、
運用まで含めた支援モデルの方が効きやすいのです。
現場と管理職の間にある調整業務
一番見落とされがちなのがここです。
中小企業では、
管理職や中堅社員が、
本来の仕事以外にたくさんの“つなぎ仕事”を抱えています。
- 情報を集める
- 整理する
- 社長に説明する
- 現場に伝える
- 例外対応を判断する
- 誰が何をやるか調整する
この見えない仕事が、
実はかなり重い。
AI BPaaSは、
こうした「つなぎ仕事」の負担を減らすことで、
管理職や現場責任者を助ける可能性があります。
AI BPaaSを導入するときに勘違いしやすいこと
AI BPaaSは便利な考え方ですが、
ここも期待の仕方を間違えると失敗します。
AIが全部やってくれるわけではない
これは最初に押さえておきたいところです。
AI BPaaSは、
魔法の杖ではありません。
現場の目的が曖昧なまま、
業務が整理されていないまま導入しても、
効果は出にくいです。
必要なのは、
- 何を減らしたいのか
- 何を標準化したいのか
- どこに人の判断を残すのか
- 誰の負担を軽くしたいのか
を明確にすることです。
AIは万能ではなく、
設計された運用の中で力を発揮する道具 です。
現場の理解なしでは定着しない
どれだけ先進的な仕組みでも、
現場に合っていなければ使われません。
特に中小企業では、
「きれいな理想形」より、
「今の現場で回るか、使えるか」が重要です。
だからこそ、
AI BPaaSを考えるときは、
技術の新しさより、
現場の流れを理解した設計 が必要です。
コスト削減だけで考えると失敗しやすい
もちろん、効率化や省力化は大事です。
ただ、
コスト削減だけを目的にすると、
かえって運用が歪むことがあります。
本当に見るべきなのは、
- 誰の負担が減るのか
- どの業務が再現性を持つのか
- 管理職や担当者の時間がどれだけ戻るのか
- 離職や属人化のリスクが減るのか
です。
ここまで見て初めて、
導入の意味が出ます。
中小企業がAI BPaaSを考えるときの3つのステップ
いきなり大きく始める必要はありません。
むしろ中小企業では、
小さく始めて、回る形を見つける方が現実的です。
ステップ1 現場で詰まっている業務を特定する
最初にやるべきことは、
どの業務が重いのかを見極めることです。
たとえば、
- 毎回手でつないでいる作業
- 担当者しか分からない仕事
- 問い合わせが多い仕事
- 管理職が抱え込んでいる仕事
- 定型なのに時間がかかっている仕事
こうした業務は、
AI BPaaSとの相性が良い候補です。
ステップ2 ツールではなく業務単位で考える
「何のAIを入れるか」
「どのシステムを使うか」
から入ると失敗しやすいです。
そうではなく、
「この業務をどう回したいか」
から考えることです。
採用業務なのか。
評価運用なのか。
問い合わせ対応なのか。
業務単位で考えると、
必要な仕組みや支援の形が見えやすくなります。
ステップ3 人の役割を残したまま設計する
全部を自動化しようとしないことも大切です。
中小企業では特に、
最後の判断、
例外対応、
相手への配慮、
現場とのすり合わせ。
こうした部分は、
まだ人の役割が大きいです。
だからこそ、
AI BPaaSは
「人をなくす仕組み」ではなく、
人がやるべきことに集中できるようにする仕組み
として考えた方がうまくいきます。
こんな会社は刺さりやすい
次のような状態がある会社は、
このテーマにかなり心当たりがあるでしょう。
ツールはあるのに現場が楽になっていない
- SaaSを入れたのに手作業が減らない
- 現場で入力や運用が止まりやすい
- 担当者がいないと回らない
- 結局Excelや口頭で補っている
管理職や中堅社員がつなぎ役で疲れている
- 情報整理ばかりしている
- 例外対応に追われている
- 本来業務以外の調整が多い
- 仕組みでなく人で回している
人手不足で改善まで手が回らない
- 業務改善したいが担当者がいない
- バックオフィスが少人数すぎる
- 社長や管理職が全部見ている
- 現場の疲弊が慢性化している
こうした会社は、
単なるSaaS追加ではなく、
業務運用そのものを見直す段階に入っています。
中小企業向けチェックリスト
自社がAI BPaaS的な発想を持つべき段階かを見るなら、
まずは次を確認してみてください。
業務の状態チェック
- ツールはあるのに手作業が多く残っている
- 例外処理が多く、運用が属人化している
- 問い合わせや確認作業が多すぎる
組織の状態チェック
- 管理職や中堅社員がつなぎ役で疲れている
- 現場任せの運用が増えている
- 改善したいが担当者がいない
導入の前提チェック
- どの業務を軽くしたいか見えている
- 自動化すべき部分と人が残る部分を分けて考えられる
- ツール導入ではなく業務成果で考えられる
複数当てはまるなら、
「何のSaaSを入れるか」ではなく、
「どう回る仕組みにするか」を考える段階です。
よくある質問(FAQ)
このテーマは新しい言葉が多いので、現場では誤解も出やすいです。
よくある質問を整理しておきます。
A:そうではありません。SaaSは今でも重要です。ただし、SaaSだけで現場の課題が解決するわけではない、ということです。特に中小企業では、導入後の運用(負荷)まで含めて考えないと、効果が出にくい場面が増えています。
A:むしろ中小企業こそ相性が良い場面があります。
理由は、人手が限られ、属人化しやすく、運用を整える余力が足りないからです。
そういう会社ほど、ツール単体より、運用支援まで含めたモデルの方が効きやすいです。
A:最初は、現場でいつも詰まっている業務を一つ選ぶことです。たとえば、
・採用管理
・面談記録整理
・社内問い合わせ対応
・申請フロー整備
このあたりの、小さいが重い業務から始めるのが現実的です。
A:そう単純ではありません。
実際には、人がやるべき判断や調整は残ります。ただし、その前段の整理や定型作業を軽くすることで、人が本来やるべき仕事に集中しやすくなります。
まとめ
SaaSはもう古いのか?
答えは、SaaSが古いのではなく、SaaSだけでは足りない時代に入ってきたということです。
中小企業の現場では、人手不足も、属人化も、管理負荷も進んでいます。
その中で必要なのは、ツールを増やすことより、
業務を回る形に変えること です。
その意味でAI BPaaSは、
- ・AIを使う
- ・クラウドを使う
- ・人の運用支援を入れる
- ・業務全体を成果につながる形で回す
という、次の一手になり得ます。
特に宇都宮や栃木の中小企業のように、
人が限られ、でも現場は止められない会社ほど、この発想は現実的です。
本当に見るべきなのは、何のツールを入れたかではありません。
現場が前より回るようになったか
管理職の負担が減ったか
人が本来の仕事に集中できるようになったか
そこまで届いて初めて、
DXもAI活用も意味を持ちます。
だからこそ今、SaaSの次を考えるなら、
“ツール導入”ではなく業務運用そのものをどう設計し直すか という視点が必要です。
次回予告 5月24日(日)
評価制度は「企業の背骨」〜経営計画を絵に描いた餅にしない、経営と人事の完全リンク術〜(Vol.24)
この記事の著者
葆東雅仁(ほうとう まさひと)
株式会社ヒューマンソリューション 代表取締役
HR・人材領域に24年携わる人事コンサルタント。栃木県を中心に中小企業の採用・評価・育成を一体で支援。
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